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深泥池水生動物研究会への呼びかけ

1998年2月6日

以下は,京都市深泥池の外来魚捕獲事業にあたり,魚類の捕獲調査作業を手伝って いただくボランティア募集の呼びかけです.この事業では,魚類の捕獲調査作業に予 算がついていないので,ボランティアへの旅費もありません.深泥池に気軽に来れる 京都市近隣の方にお願いしたい次第です.また,単にお手伝いをしていただくだけの 参加も歓迎ですが,その資料を使って研究したいと思われる方も,学生や研究者を問 わず募集したいと思います.以下の文章はこの事業をするに至った背景などを説明し たものです.興味ある方は読んでみてください.なお,出所を明記の上の転載は自由 にしていただいて結構です.

1.はじめに

京都市北区の深泥池には,ミズゴケが浮島を形成し高層湿原状となっためずらしい 景観がみられます.この池には,ミツガシワやホロムイソウなどの北方系の植物やミ ズグモやマガリモンヒメハナアブなどの希少種が数多く生息しており,全国的にも異 例の生物群集指定の天然記念物となっています.昨年は,深泥池の価値が公に認めら れ,市による深泥池の買い上げが決定しました.貴重な深泥池が公有の財産となるこ とは,喜ばしいことではありますが,その保全と利用をめぐっては未だに多くの問題 が残されています.たとえば,市民による利用を促すために安易な整備をすれば,周 回道路と護岸により自然の失われた宝ヶ池の二の舞になりかねません.京都市文化財 保護課は,深泥池保全活用委員会を設けて,深泥池の保全と利用のあり方を検討しつ つあります.私も一委員として,最善の道を模索し主張する心つもりでおりますが, これまでの経緯を振りかえると,委員として意見を述べるだけで事態が良い方向へ進 むとは限らない点が多々あります.たとえば,釣り人による植物群落の破壊や植物の 盗掘などが相変わらず起きています.私有地であることによって規制が働いていた浮 島への侵入が,公有地となったばかりにかえって増加する懸念もあります.こうした 事態に対して,委員会ではレンジャーの必要性を訴えておりますが,人員削減のご時 勢にすぐに認められそうもありません.深泥池を守りかつ健全に育成していくために は,行政に全てをまかせるのではなく,市民サイドからもアクションを起こす必要が あります.

2. 外来魚捕獲事業

今年は,京都市文化財保護課によって,深泥池の動物群集に重大な影響を与えてい ると考えられるオオクチバス(ブラックバス)とブルーギルの捕獲事業が計画されて います.その一環として,琵琶湖の漁師さんに依頼して深泥池用に小形定置網2張を 制作することになりました.定置網の購入と設置については,市の予算で賄われるの ですが,その後の捕獲作業ならびに定置網の維持管理については,一切予算がないと いう困った現状があります.文化財保護課の菅沼裕さん(文化財保護技師)には,定 置網の設置後,一週間中ウィークディの2日は外来魚捕獲作業に従事していただくよ うお願いをしております.しかし,定置網による外来魚捕獲を経験されている滋賀県 水産試験場の高橋誓さんや,琵琶湖博物館の桑村邦彦さんのお話では,少なくとも2 日に一度は捕獲をする必要があるとのことです.そうしないと,袋網に捕獲された在 来魚やカメなどの動物が,弱ったり死んだりします.また,捕獲されたオオクチバス とブルーギルは,標本にして成長や胃内容などの分析に供する予定です.胃内容分析 をするためには,袋網に入ってから1日以内に回収する必要があるので,この点から もできるだけ頻繁に網の見回りと捕獲作業をすることが望まれます.したがって,菅 沼裕さんが来られない曜日の少なくとも2日について誰かが捕獲作業に当たることが できれば,この事業を有効に働かせることができると思われます.

3. 深泥池水生動物研究会の役割

そこで期待されるのが,研究目的の学生さん(大学学部生や院生)・中学高校の生 物部など(顧問の先生との共同作業に限る)・地元住民の有志の方々です.上記目的 に最も合致するのは,オオクチバスとブルーギルの生態やこれらの魚類と水生動物群 集の関係について興味ある学生さんに,卒業研究や大学院の研究課題として深泥池の データを利用してもらうことです.学生さんの特権は,時間のたくさんあることです .自分の研究に活かせるとなれば,頻繁に捕獲作業にあたっもらえるかもしれません .また,深泥池を場とした市民グループには,すでに「深泥池を守る会(田末利治事 務局長)」・「深泥池を美しくする会(井上庄助会長)」・「深泥池観察会(西村弘 子代表)」があり,住民の方々との連携のもと活動されています.本研究会では,こ れらの会のメンバーにもご協力いただき,深泥池の魚類調査を通じて表1に示すよう な関係を作れれば良いと考えています.

 表1.深泥池の魚類調査を通じた住民・研究者・行政の依存関係
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           期待される主要な役割        各立場のメリット
       資金物資  労働力  資料分析  結果評価
        調達 
地域住民          ◯          ◯   調査体験と学習機会
研究者と学生        ◯     ◯    ◯   データの入手
京都市     ◯     ◯          ◯   労働力の確保
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また,水生動物群集に対するブルーギルやオオクチバスの影響については,思った よりも研究されていないため,改めて調査しなければ分からないことの多いのが現状 です.この研究会では,定置網による捕獲作業を通じて,単に外来魚駆除を行うだけ ではなく,両魚種についてのデータを集め生態学的な知見を得ることを目的にしたい と思います.また,将来的には,魚類のほか底生動物やプランクトンなどの水生動物 についても調査項目に加えることによって,深泥池の生物群集を保全するための監視 体制を強化していきたいと存じます.つきましては,こうした活動に少しでも興味あ る方々に,この研究会にご参加くださいますようお願いいたします.たまには深泥池 に行って見ようかと思う方や,ここで得られる知見にのみ興味ある方でも結構ですの で,世話人までご連絡ください.具体的な活動日程については,まだ確定していませ んが,下記のようなスケジュールを考えています.参加を希望された皆様には,追っ て活動計画案をお知らせいたします.

深泥池水生動物研究会の活動スケジュール (案)

2月26日  深泥池用定置網(えり)2張りの設置場所下見

3月初旬   深泥池用定置網(えり)2張りの完成(予定)

3月11日  深泥池用定置網(えり)の設置
       オオクチバス・ブルーギルの捕獲と魚類調査開始

3月13日  深泥池水生動物研究会 第1回打ち合わせ会
       議題 1)深泥池用定置網(えり)2張りの設置場所と方法の検討
          2)魚類捕獲調査の日程と担当者の検討

3月13日〜 捕獲作業開始

5月中〜下旬 深泥池水生動物研究会 第2回打ち合わせ会
       議題 1)深泥池用定置網(えり)の数・設置場所・方法の再検討
          2)魚類捕獲調査の日程と担当者の再検討

7月中〜下旬 深泥池水生動物研究会 第3回打ち合わせ会

以後 2〜3ヵ月に一度のペースで打ち合わせ会を行う.
   1998年の秋〜冬に報告会を行う

連絡先

世話人: 竹門康弘 (たけもん やすひろ)
〒611-0011 宇治市五ケ庄
京都大学防災研究所水資源研究センター
TEL 0774-38-4253・FAX 0774-32-3093
e-mail <takemon@wrcs.dpri.kyoto-u.ac.jp
文責: 竹門康弘