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2009年7月の深泥池水生生物研究会からのお知らせ

連絡係 加藤 義和

第109回打ち合わせ会報告

開催日時:7月5日(日)14:00‐17:00

出席者:加藤義和、辻本典顯、嶋路耕平、加藤陸朗、嶋田美咲、伴浩治、大畑吉弘、田末利治、竹門康弘、伊藤昭雄(順不同、敬称略)(計10名)

○はじめに

次回の打ち合わせ会は2009年9月6日(日)14:00から深泥池会館で行う予定です。

1. 外来魚駆除作業

6月分のデータの集計が間に合わなかったため、月例の報告はありませんでしたが、作業に参加している方たちが現場で気づいたことがいくつか話題に上りました。

まず、今年は6月に入ってもブルーギルが多く取れているという指摘がありました。これらのブルーギルが採集されたのは、「南水路から東側」であり、例年の傾向とは異なる場所でした。これについては、夏季に岸際の水温が上がったため、ブルーギルが日陰の多い場所で活動していたという可能性が考えられます。

また、池の南岸の水が黒く濁っている、という指摘がありました。これについては、水中が無酸素化し、金属イオンが溶出することによって起こる、いわゆる「青潮」の可能性も考えられましたが、青潮だとすれば高くなるはずの電気伝導度は通常とあまり変わらなかったため、濁りの原因は湿原につきものの腐食酸ではないか、と推測されました。しかし、これほどの濁りが見られたことはこれまでになく、なぜ今年はそのような現象が起こったのかは不明のままです。

モンドリNo.7(南水路の岸辺に設置)が、6月中旬から見当たらなくなっています。使っていないときには岸辺に沈めてあったため、盗難の可能性も考えられます。 昨年に引き続き、今年もオオカナダモの増加は見られません。数年前には、夏になると池の水面がオオカナダモでびっしりと覆われていたのが嘘のようです。かつては冬季に多数のカモが飛来して水草を食べたため、オオカナダモが壊滅的に減ったことがありました。しかし、近年では飛来するカモが少なくなっており、なぜオオカナダモが減ったのかは不明です。

2.シカの侵入対策

今年も、池周辺にはシカが姿を見せ、浮島にも侵入しているようです。6月18日には、池の南水路で溺れたと見られる仔鹿の遺体を見つけました。遺体は京都市に回収してもらいました。

チンコ山北側の鹿除けネットが途切れる辺りからシカが浮島に侵入している、との観察報告もあり、シカの侵入を防ぐための具体的な方策を立てるべきとの提案がなされました。この件については、昨秋、竹門先生と辻野さん(総合地球環境学研究所)が京都市文化財保護課に足を運び、現状の説明と対策の要請を行なっています。また、文化財保護課には、シカ対策で先駆的な取組みを行なっている京都市森林組合とも連携を取ってもらい、シカ対策に本腰を入れてもらうべきだとの意見が出されました。 「博愛会病院前」バス停から病院の正面にかけて、ヨシが倒れている箇所があり、ここからシカが侵入しているのではないか、との指摘がありましたが、航空写真では北側からシカが侵入している形跡(侵入していれば、筋状の"けものみち"が浮島上に確認できる)はありませんでした。

3.南水路の植生管理

ここ数年、池の南水路ではマコモ・ガマがどんどん成長して水路が狭まってきており、このままでは、池の南西開水域と南東開水面の間では水の行き来が遮断されてしまうおそれがあります。また、浮島と西山が陸続きになってしまえば、外来生物やシカなどが浮島に侵入するリスクが高くなります。そのため、南水路のマコモ・ガマを除去するにはどうすればよいかを話し合いました。東西に伸びる南水路のちょうど中間地点には、貴重種であるヒメコウホネの大きな群落があり、近年では、実生と思われる株が浮島の縁にもたくさん根付いています。マコモ・ガマを除去するに当たっては、1)ヒメコウホネの株がある区域には手をつけないこと、2)浮島周縁部の植生を維持するため、刈り取りは最小限にすること、3)刈り取りを行なう区域は杭やロープで囲み、必要な部分だけを間違いなく刈り取ること、が重要であることを確認しました。また、刈り取った植物を回収してもらうためには、京都市、自然史研究所との連携を図る必要があるため、近日中に、担当の方たちと話し合うことにしました。

4.エリ網の購入(伊藤)

長年の使用により、エリ網が傷んで破れやすくなっています。来年度には新しいもので作業ができるように、京都市に購入してもらうことにしました。

5.「深泥池を美しくする会」の存続(田末)

深泥池を美しくする会は、1965年の結成以来、永年にわたって深泥池を守る活動に取り組んでこられましたが、永く会長を勤めておられた井上庄助さんが2006年に亡くなられた後、会長は不在のままでした。このたび、田中俊輔さんが会長を引き継がれ、会が存続することになったそうです。

6.東稜高校SPP(伴)

昨年度、東稜高校(伏見区)で実施されたSPP(サイエンス・パートナーシップ・プロジェクト)の報告が伴先生からありました。このプログラムでは東稜高校の生徒に、講義を通じて深泥池について学んでもらうとともに、深泥池での底生動物の採集や外来植物(主にナガバオモダカ)の駆除を現地で体験してもらいました。また、研究会が駆除した外来魚の標本を使って、「お魚の身体検査」(種の同定、体長・体重の測定等)をしてもらいました。これらの学習の成果は、生徒の手によってまとめられ、授業で発表されました。今年度も9月から同様のプログラムが実施される予定です。

7. 小屋の管理(加藤)

研究会が利用している作業小屋の管理について、6月10日(水)10時より、町内会の代表者、池の周囲に住んでおられる方、ならびに京都市文化財保護課とで話し合いを行ないました(「6月の研究会からのお知らせ」を参照)。この内容について、研究会のメンバーで話し合いを行ないました。今後も、地域の方や京都市とこのような話し合いの場を設け、会の活動へのご理解・ご協力をお願いしていきたいと思います。今後は小屋の中を整理整頓し、作業に必要な物品がスムーズに使えるように心がけていくことを確認しました。物品を使用したら、もとあった場所に必ず戻すようにしてください。伊藤さんには、踏み抜くおそれがあった小屋の床板をきれいに張り替えてもらいました。調査等で一時的に小屋を利用する方は、調査で必要なものは置き場所を決め、調査終了時には必ずすべて持ち帰っていただくよう、お願いいたします。防犯および美観維持のため、小屋の外には物品を放置しないようにしてください。

8.京都市都市計画道路パブリックコメント(1回目)の結果について(加藤)

岩倉上賀茂線を含む都市道路計画は1960年(昭和35年)に決定されましたが、国の天然記念物である深泥池の環境に大きな影響を与えることから、地域住民をはじめとする市民や研究者が数多くの反対運動を行い、市議会でも検討が行われてきました。このため、岩倉上賀茂線のうち、深泥池にかかる部分については、今日まで整備されずに来ています。(これまでの経緯の詳細については、「深泥池の自然と暮らし」(2008年 サンライズ出版)の178〜182ページをご覧下さい。)

京都市は今回、「都市計画決定後20年以上経過して、いまだ整備できていない幹線街路」の見直しをし、「各都市計画道路の"現在における必要性"と"計画を実施する上での課題"を評価して廃止すべき都市計画道路を決定する」との方針で、昨年度中に見直し手法の検討を行い、今年度(平成21年度)には廃止すべき道路の決定を行います。

道路計画の見直しにより、岩倉上賀茂線の廃止が決定されれば、深泥池にとっての大きな危機をひとつ乗り越えることになります。しかし、もしこの計画が実施されれば、現在よりも幅の広い道路が池の内側に食い込むかたちで走ることになり、池への悪影響は非常に大きくなります。この計画について、京都市は平成21年2月20日から3月23日にパブリックコメントを募集し、見直し手法の検討についての意見を集めました。水生生物研究会では、提出すべき意見について3月の打ち合わせ会で話し合い、打ち合わせ会に参加できなかった会員の方々にもパブリックコメントの提出をお願いしました。

その後、京都市のホームページ上において、前回のパブリックコメント募集の結果が公表されました(平成21年5月26日付)。

URL: http://www.city.kyoto.lg.jp/tokei/page/0000062619.html

これを読むと、「個別の路線、事業に関する御意見」としては岩倉上賀茂線に関するものが特に多く寄せられており(11件)、研究会で話し合った内容を反映させたと見られる意見も多くあります。我々の呼びかけに応えて多くの方がコメントを寄せてくださったようです。都市計画課では今年度中に、廃止すべき都市計画道路の選定を行い、その候補が出たところで2回目のパブリックコメント募集を行います。今後、廃止道路に岩倉上賀茂線が含まれれば一番よいのですが、廃止道路に岩倉上賀茂線が含まれず、従来どおりの計画で進行してしまう、という最悪のシナリオもありえます。

次回の打ち合わせ会では、1回目のパブリックコメントに対する京都市のコメントを確認しながら、2回目のパブリックコメントではどのような意見を寄せるべきか、相談することにしました。

岩倉上賀茂線の図面
http://www5.city.kyoto.jp/tokeimap/detmap/sise/kyo024-4-4.htm

今後の日程

次回の打ち合わせ会を2009年9月6日(日)14:00から深泥池会館で行います。上記の道路問題についても話し合いをしますので、ぜひご参加ください。

9月6日(日)9:00より、外来魚の駆除作業を再開します。作業に参加できる方は、よろしくお願いいたします。10月末頃までは、毎週木曜日・日曜日の9:00-12:00に、刺し網、投網、モンドリなどによる外来魚の駆除作業を行なっています。興味のある方はぜひご参加
ください。

※本稿で使われている、「南西開水域」「南水路」などの用語は、『深泥池の自然と暮らし』(2008年・サンライズ出版)20ページの地図に準拠しております。