ホーム お知らせ

2009年9月の深泥池水生生物研究会からのお知らせ

連絡係 加藤 義和

第110回打ち合わせ会報告

開催日時:9月6日(日)14:00‐17:00

出席者:加藤義和、猪塚あや、嶋田美咲、高原光、成田研一、田末利治、安部倉完、岡田英三郎、竹門康弘(順不同、敬称略)(計9名)

○はじめに

次回の打ち合わせ会は2009年10月4日(日)14:00から深泥池会館で行う予定です。

今年に入ってから研究会の連絡係を務めてきた加藤が10月から東京でポスドク研究員として働くことになりました。これまでのように会の活動に参加し続けることは難しくなるため、連絡係は辻本典顯君に、外来魚駆除活動の現場監督は嶋路耕平君に、会計は加藤陸朗さんにそれぞれ引き継いでもらうことになりました。よろしくお願いいたします。

今回、同志社女子大4回生の猪塚あやさんが本研究会の活動に興味を持たれ、打ち合わせ会に来て下さいました。卒論のテーマとして外来魚の駆除活動を取り上げ、深泥池も調査地のひとつとされる予定だそうです。

1.外来魚駆除成果報告 (安部倉)

昨年の同時期の捕獲数と比べるとバスは2008年の22尾から17尾とやや減少傾向にありますが、稚魚の捕獲数は345尾から5735尾と大きく増加しました。産卵床の破壊は昨年1個でしたが今年は0個です。産卵床を1個壊しただけで稚魚の捕獲数が大きく変化している事から、繁殖個体数は数個体と考えられます。オオクチバスに関しては産卵床を見つけ破壊さえすれば効果は大きいと思われます。

ブルーギルの1歳魚以上の捕獲数は73尾から764尾と大きく増加しています。これは、5年前の2005年と同水準の捕獲数であり、かなり深刻な状況と考えられます。前年度のギルの産卵床の破壊数は54個と今までの倍近くまで増えました。これは、除去による密度効果によって生殖可能な年齢が下がり繁殖個体数が増加したためと推測されます。これにより1歳魚の新規加入が急激に増加し、個体数の増加につながったと考えられます。2004年度まで3歳魚の平均被鱗体長は95mm前後であったが2006年には108mm、2008年は130mmと成長が格段によくなっています。また、2008年度の4歳魚以上の個体数は3尾と推定されており、2008年は3歳魚が繁殖の主体となっていた可能性が高いです(今年は産卵床が24個もありました)。今後は、個体数が300尾以下になったときの繁殖年齢の低下も考慮し除去を続けていく必要があります。

今年はゴールデンウィーク前後にブルーギルの捕獲が集中していました。来年は、研究会のメンバーや学生を総動員して、この期間には毎日モンドリを仕掛けられるように体制を整えることになりました。

導入した三枚網は、バスの成魚を捕獲するのに大きな効果があるようです(7月16-30日の2週間で3尾捕獲)。ただし、網に水草が絡みついたり有機物が付着したりしてすぐに汚れてしまうため、予備のものを購入して定期的に洗浄・交換しながら使用することにしました。

3.9月以降の駆除活動

8月中は夏休みだった外来魚の駆除作業は、9月6日に網の設置等の準備を済ませ、9月10日から再開しました。駆除作業は、魚の活動が鈍くなる11月初頭まで続ける予定です。池の南水路には現在、外来植物であるナガバオモダカがはびこっていますが、今後、大畑さんに抜き取りをおこなってもらうことにしました。抜き取りの規模や許可申請については、京都市や自然史研究所と相談することになりました。

4.水質の近況(田末)

9月に入ってから、博愛会病院構内から池に通じる排水溝の水が非常に高い電気伝導度を示しています(9月6日:234.8μS/cm)。同じ地点での最近の電気伝導度は50〜60μS/cmで安定していたことから、病院から一時的に雑排水が流れ出ていると考えられます。この件については病院に申し入れ、排水が池に流れ込まないように対応してもらうことになりました。 博愛会病院前のバス停留所付近でも、電気伝導度が高い値を示しました(438μS/cm;普段は200〜300μS/cm)。この原因についてはまだ不明です。

5.深泥池周辺のカシの異変(田末・高原)

田末さんが池南側の山道沿いで、カシの木の幹に小さな穴が開き、そこから木屑が出ている現象に気づきました。近年、京都の東山で猛威を振るっているカシノナガキクイムシの可能性を疑い、京都府立大の高原先生に意見を伺ったところ、カシノナガキクイムシの巣ならば、幹から出てくる木屑はキナ粉のように細かいが、田末さんが見つけた木屑はもっと粗いということなので、カシノナガキクイムシではないだろう、とのことでした。

しかし、東山ではカシノナガキクイムシの被害が甚だしく、京都市内から東山を望むと、緑の森の中に葉が赤く枯れた木が点在し、とても目立つ状態になっています。深泥池でカシノナガキクイムシの被害が出るのも、時間の問題かもしれません。

6.小屋の掲示板について

作業小屋の南壁に、京都市が掲示板を設置しました。この掲示板は京都市から水生生物研究会・自然観察会に譲渡されたもので、今後はわれわれで管理していく必要があります。掲示板には鍵がかけられるようになっているため、近日中には小屋の中にキーボックスを設置し、鍵を保管することにしました。

7.京都市都市計画道路パブリックコメント(1回目)の結果について

岩倉上賀茂線を含む都市道路計画は1960年(昭和35年)に決定されましたが、国の天然記念物である深泥池の環境に大きな影響を与えることから、地域住民をはじめとする市民や研究者が数多くの反対運動を行い、市議会でも検討が行われてきました。このため、岩倉上賀茂線のうち、深泥池にかかる部分については、今日まで整備されずに来ています。これまでの経緯の詳細については、「深泥池の自然と暮らし」(2008年 サンライズ出版)の178〜182ページにまとめられています。

京都市は今回、「都市計画決定後20年以上経過して、いまだ整備できていない幹線街路」の見直しをし、「各都市計画道路の"現在における必要性"と"計画を実施する上での課題"を評価して廃止すべき都市計画道路を決定する」との方針で、昨年度中に見直し手法の検討を行い、今年度(平成21年度)には廃止すべき道路の決定を行います。

道路計画の見直しにより、岩倉上賀茂線の廃止が決定されれば、深泥池にとっての大きな危機をひとつ乗り越えることになります。しかし、もしこの計画が実施されれば、現在よりも幅の広い道路が池の内側に食い込むかたちで走ることになり、池への悪影響は非常に大きくなります。

この計画について、京都市は平成21年2月20日から3月23日にパブリックコメントを募集し、見直し手法の検討についての意見を集めました。水生生物研究会では、提出すべき意見について3月の打ち合わせ会で話し合い、打ち合わせ会に参加できなかった会員の方々にもパブリックコメントの提出をお願いしまし
た。

その後、京都市のホームページ上において、前回のパブリックコメント募集の結果が公表されました(平成21年5月26日付)。
URL: http://www.city.kyoto.lg.jp/tokei/page/0000062619.html

これを読むと、「個別の路線、事業に関する御意見」としては岩倉上賀茂線に関するものが特に多く寄せられており(11件)、研究会で話し合った内容を反映させたと見られる意見も多くあります。我々の呼びかけに応えて多くの方がコメントを寄せてくださったようです。

その後、都市計画課は意見募集の結果を踏まえ、新しい「都市計画道路網の見直し指針」を公表しました(平成21年8月13日付)。
URL: https://www.city.kyoto.lg.jp/tokei/page/0000066794.html

前案と比べると、自然環境への配慮についてはいくつかの修正点があるようです。

都市計画課では今年度中に、廃止すべき都市計画道路の選定を行い、その候補が出たところで2回目のパブリックコメント募集を行ないます。今後、廃止道路に岩倉上賀茂線が含まれれば一番よいのですが、廃止道路に岩倉上賀茂線が含まれず、従来どおりの計画で進行してしまう、という最悪のシナリオもありえます。話し合いの結果、京都市には、かつて諮問した機関(京都市岩倉上賀茂線深泥池検討委員会)の意見を再確認してもらうことが最も重要だとの意見が出されました。また、廃止道路に岩倉上賀茂線が含まれなかった場合には、マスコミへのアピール等を行なって計画に反対するべきとの意見も出されまし
た。

都市計画道路とは別に、池の西〜北側にかけての車道を拡幅する計画が進んでいるようです(今春、現地の測量が行なわれた模様)。都市計画道路が廃止になったとしても、道路の拡幅は決定されるかも知れません。今後の動向に注意する必要があります。

今後の日程

次回の打ち合わせ会を2009年10月4日(日)14:00から深泥池会館で行います。また、毎週木曜日・日曜日の9:00-12:00に、刺し網、投網、モンドリなどによる外来魚の駆除作業を行なっています。興味のある方はぜひご参加ください。

《諸連絡》