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2010年1月の深泥池水生生物研究会からのお知らせ

連絡係 辻本 典顯

第114回打ち合わせ会報告

開催日時:1月17日(日)14:00〜17:00

出席者:田末利治、伊藤昭雄、大畑吉弘、宮本水文、野尻浩彦、嶋路耕平、竹門康弘、安部倉完、辻本典顯

(順不同、敬称略)(計9名)

○ はじめに

次回の打ち合わせ会は2010年2月7日(日)14:00から深泥池会館で行う予定です。

1.近況報告

1)コハクチョウが飛来!(田末)

昨年12月30日、深泥池にコハクチョウ11羽が飛来しました。30日の早朝池に降り立ち、しばらく岸際で羽を休めていたそうです。当日水質調査のため池を訪れていた田末さんの観察によると、午後は浮島近くに移動し、夕方一斉に飛び立っていってしまったとのことです。深泥池にコハクチョウが飛来することはめったになく、年明け早々うれしいニュースとなりました。また、1月17日の観察会では、成田さんが入手された写真を見られたそうです。成田さんから写真をいただいて高井さんにお願いしてHPに掲載してはという提案がありました。

2)気象観測機器の撤去完了(竹門)

前回の報告でもお伝えした通り、12月27日に浮島および西山に設置されていた気象観測機器を取り外しました。西山の観測塔は2003年から2009年まで設置されていたことになります。航空写真を利用される際にはこの観測塔が目印になりますので、チェックしてみてください。

3)ホームページの更新(竹門)

高井利憲さんにお正月休みの間に、ホームページを更新していただきました。ありがとうございました。昨年行われた底生動物調査、水質調査の結果や打ち合わせ会の報告などを新たにアップしていただいたので、ぜひチェックしてみてください。また、今後も是非とも更新を継続していただきたいとの要望がありました。

2. 2010年度作業計画

今月も2010年度の作業計画について話し合いました。外来魚駆除、ヨシ、マコモ刈りについては11、12月の打ち合わせ会で議題になりましたので、今回は西山の森林整備について議論しました。

1)西山の斜面森林の水質形成機能(竹門)

西山の森林は、戦後まもなく利用する人がいなくなり、放置されたままになっています。2003年に環境省の環境技術開発等推進事業を計画した際には、落葉掻きや枝払いがされなくなった西山で、このまま森林の遷移が進むと栄養塩(チッソやリン)の流出が増えて、池の富栄養化を促進しているのではないかと懸念されました。そこで環境技術開発等推進事業の研究員に採用された嶋村鉄也氏が、2004年から2年間にわたり、雨水から供給される栄養塩のうち森林土壌中に吸収される量や池に流れ込む量を測定した結果、西山の森林は現在でも栄養塩をほとんど濾しとり、池への流入を食い止めるフィルターの役目を果たしていることがわかりました。よって斜面森林の水質形成の働きから見れば、里山的な森林管理を実現することはさほど緊急を要する事態ではないと判断されます。

2)林床植物への影響と択伐の必要性(宮本)

しかし、毎年水中に落ちる大量の枯葉や枯れ枝は取り除く必要がありそうです。また、イワナシやショウジョウバカマなど、林床の植物は、現在かなりの日照不足に陥っていると思われます。斜面地にところどころギャップ(林床まで光の届く空間)を作るなど、部分的管理を行って、こうした植物を守っていく必要があるとの意見も出されました。

3)明るい岸辺環復活の必要性(竹門)

深泥池の東開水域や南水路の生物相が貧弱化しているのは、岸辺の林冠が発達して日射を遮っているためと考えられます。この問題点の解決のためには、早急に岸辺を覆った林冠を切り開く必要があります。実験的に切り開きをすることについては、既に文化財保護課からもOKのお返事をいただいているので、あとは誰がイニシアティブをとって実行するかです。

4)植生管理のプロジェクト発足(竹門)

植生管理の全体計画を主導する人と組織づくりが必要です。森林管理については、高原光先生にお願いしたいところです。また,本来は地元の地球環境総合研究所のテーマとしてふさわしいとの意見がありました。湯本貴和先生に本気になっていただきたいと思います。実際的には辻野亮氏にプロジェクトリーダーになってもらい、具体的な作業計画を立てていくのがよいだろうという意見にまとまりました。

5)地域連携の強化の必要性(田末)

次に、今年は今まで以上に地域の方たちとの懇談会を開くべきだという意見が出されました。今年も西山沿いの植物遺体や刈り取ったヨシ、マコモの運び出しなどで、地域の方々にご理解をいただくべき状況が予想されます。懇談会を、地域の方々の要望や意見を聞くとともに、深泥池や水生生物研究会についてもっとよく知っていただく機会にしたいと考えています。具体的にどなたにお声をかけて交流をはかるべきかについても意見交換をしました。その結果、田末さんに渉外係になっていただき、地元の方々との連絡を密にしていただくことになりました。そして、今年中に話し合いテーマを決めて、打合会に参加してもらうという方向で検討することになりました。

3. 勉強会

冬場の活動の少ない時期に知識をつけるという目的で、勉強会を開きました。

1)植物分類体系の変遷(宮本)

まず、宮本さんには植物分類体系の変遷について解説していただきました。近年、肉眼や顕微鏡で見ることのできる範囲の共通性による分類に加え、DNAを使った分子形態分類法も導入されたので、従来の系統樹が大きく改変されました。分子形態分類の優れた点として、時間軸を系統樹に反映させていることが挙げられます。今後、ここの種の進化がはっきりしてくるのではと期待されます。深泥池の植物の種構成を考える際にも新しい分類体系が利用できるかもしれません。

2)宇治川におけるナマズ腹口吸虫とカワヒバリガイの現状(竹門)

次に、竹門先生にナマズ腹口吸虫についての解説をしていただきました。近年、淀川水系の宇治川でオイカワの大量衰弱事例が報告されています。原因はナマズ腹口吸虫の寄生によることがわかりました。この腹口吸虫の第一中間宿主は外来種のカワヒバリガイであり、この貝が中国などから輸入されたシジミに混じって日本にやってきたようです。腹口吸虫もカワヒバリガイとともに各地の河川に侵入していると推察されています。腹口吸虫はカワヒバリガイを離れて、第二中間宿主であるオイカワにも寄生するので、宇治川では冬の風物詩である寒バエ(オイカワ)釣りにも影響を与えています。腹口吸虫の大量発生を食い止めるためには、冬季のダムの放水量を増やし、腹口吸虫を下流に押し流す方法が効果的だそうです。深泥池とは違った外来生物の問題に触れることができました。