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2010年4月の深泥池水生生物研究会からのお知らせ

連絡係 辻本 典顯

第117回打ち合わせ会報告
開催日時:4月10日(土)14:00〜17:00
出席者:

竹門康弘、田末利治、伊藤昭雄、成田研一、大畑吉弘、斉藤孝、宮本水文、伴浩治、加藤陸朗、辻野亮、李佳[王偏に燐のつくり]、安部倉完、嶋路浩平(順不同・敬称略)(計13名)

○ はじめに

次回の打ち合わせ会は2010年5月9日(日)14:00から深泥池会館で行う予定です。

4月29日(木)〜5月5日(水)まで、長久堂で今年も例年通り深泥池写真展を催します。皆様お誘いあわせのうえ、お運びいただければ幸いです。

1.近況

1)ニシキゴイの放流(加藤陸朗)

先月の打ち合わせ会で、深泥池に何者かがニシキゴイを放流したことが話題になりました.今回は,放流現場を目撃された山岸さん(京都バス監視員の方)から直接お話を伺った情報が報告されました。2月初旬、車で来た人がビニール袋に入れられた大小あわせて5、6尾のコイを学生アパート前から放流している所を目撃されたそうです。今回の打ち合わせ会では、こうした問題にどのように対応するべきか話し合いました。その中で、マスコミ、市民新聞、府民新聞、あるいは文化財保護課を経由して、社会問題化するという意見が出されました。この件に関しては、4月22日行われる、京都市の馬瀬さんとの話し合いの中でも議論する予定です。

2) 自動車事故(田末利治)

3月31日に深泥池横のカーブ(多賀良屋前)から、池に車が突っ込みました。この件に関しても22日の話し合いで、どのような措置をとってもらえるのか、京都市に対応を求めることになりました。

3) 水温・電気伝導度(田末利治)

田末さんの毎週の測定結果では、電気伝導度には大きな変化は見られないとのことでした。水温に関しては、例年よりやや低いとの報告がありました。本年のブルーギルやブラックバスの繁殖時期に何らかの影響があるかもしれません。

4) 東稜高校SPPについて(伴浩治)

東陵高校が毎年深泥池を対象に実施してきたSPPプロジェクトが今年は中止になったことが報告されました。自然再生事業において市民活動と学校の環境教育の連携事例として有意義なプロジェクトですので中止になったことは残念ですが,「お魚の身体検査」は、伴先生の授業の中に組み入れて継続されるとのことです。

5) ミズムシ(加藤陸朗)

先月の打ち合わせ会で報告された、半翅目のミズムシについて、京都府大兼田さんに同定していただきました。その結果、体長約8mmであること、前胸背板の黒色横帯の数が少ないこと、雄前脚?節のペグ列が基半部にあらわれないことから、ミヤケミズムシXenocorixa vittipennisである可能性が高いとのことでした。京都府では今のところ、絶滅のおそれはありませんが、都道府県によってはレッドリストに記載されている種です。1970年年代後半に深泥池で優占種であったミヤケミズムシが復活したとすればたいへん喜ばしいことです.

2. 外来魚駆除とヨシ・マコモ刈りの作業計画

1) 外来魚駆除の作業日程(安部倉完・竹門康弘)

今年度の外来魚駆除作業の方針と作業日程について話し合いました.その結果,エリ網とモンドリによる駆除作業は4月15日(木)に開始することになりました。また,漁法ごとの作業手順は以下の予定に決まりました.

エリ網
今年も2カ所に設置することになりましたが,エリ網の一つは袋網がカメに破られているため修繕が必要であることが分かりました.このため,穴の空いていないエリ網は,安部倉さんが4月10日に設置し,穴の空いている網は、伊藤さんが修繕をしてから、18日に設置することになりました。修繕に必要な編み針と8-10号のナイロン糸を竹門さんが購入して伊藤さんに渡す予定です.
もんどり
浮島付近のもんどり(もんどり番号18、19、24、25、26)には、あまり魚が入らなくなっているので、比較的捕獲数の多い南岸に、新たに2−b、3−b、4−b、5−bを設置することになりました。過去のデータとの比較の意味では0匹も意味のあるデータであるという意見がありましたが、この事業では外来魚の根絶に向けてより効果のある方法を優先する計画にしました。
さし網
伊藤さんに設置していただきます。一昨年にカルガモの脚に絡んだことがありましたので、できるだけリスクを減らすために,昨年と同様にオオクチバスの繁殖が終わる5月末には取り外す予定です。また、鳥が網にかかった際には迅速な対応が求められるので,産卵床破壊の作業日も含めて巡視を強化する必要があります.
産卵床の破壊
今年は人数を増やして、作業日も増やす方針としました。投網ができる方には、できるだけ参加してもらうよう声かけをすることになりました。作業を行う場合は、少なくとも誰か一人は腕章をつけていただきます。
密放流の阻止
密放流を防ぐためには,研究会のメンバーだけではなく,警察や行政の協力が必要です.22日の京都市との話し合いでは、巡視強化の要請をする予定です。

2) ヨシ・マコモ刈りの作業日程(竹門康弘・伊藤昭雄)

ヨシ・マコモ
去年刈り取られ、岸に積み上げられたままになっているヨシやマコモは、パッカー車およそ2台分になるとのことです。22日の話し合いで、パッカー車の要請台数についても検討します。

3.西山の植生管理(竹門康弘・宮本水文)

西山の植生管理については、この数ヶ月時間をかけて議論してきました。以前西山沿いは、岸際にネザサ、スゲ、ミズゴケ、モウセンゴケなどが生えていましたが、現在は、アラカシ・カナメモチ・ネジキ・コナラなどの樹冠が池に大きく張り出した結果,日陰となり,これらの下層植生が壊滅しています。また,水生植物相や水生動物相も貧弱化しています.今年は,これらの樹冠を枝打ちして日当りを良くすることで、林床の植物や岸沿いの水生動植物を回復させる実験を行うことにしました。今回の打ち合わせ会には、この計画の代表者になっていただく宮本さんや、総合地球環境学研究所の湯本さん、辻野さんにも参加していただき、より具体的な内容について検討しました。

まず枝打ちを行う区間ですが、学生アパート前からヒノキ林の西側あたりまでになりました。この区間では樹形投影などのデータがとられていますので、そのデータも活用しながら作業を進めていくことになりました。次に伐り出し作業の流れですが、枝を伐る→運び出す、のような流れ作業で行う必要があります。伐った枝からはキクイムシが発生するので、速やかに(その日のうちが理想)運び出さなければいけません。また、伐った枝の処理についても考えなければいけません。カシの仲間は薪材などに利用できるので、引き取って使ってもらえる先を探しています。何かよい情報をお持ちの方は、是非紹介していただければ幸いです。

また,この計画を進めて行く上で枝打ちによる動植物群集や環境の変化を調査・研究する人材が不足しているという課題があります。湯本さんや辻野さんも、湿原の調査に重点を置いており、池岸沿いの生態調査については優先度が低いのが実状です。このテーマで研究をしたみたいという学生さんが居られましたら,最寄りの会員または竹門さんのアドレス<takemon.yasuhiro.5e@kyoto-u.ac.jp>
に連絡ください.

4.水質改善による浮島湿原植生の復元(辻野 亮)

辻野さんが発表された論文『富栄養化によって浮島湿原植生が受けたダメージの水質改善による復元』

Tsujino R., Fujita N., Katayama M., Kawase D., Matsui K., Seo A., Shimamura T., Takemon Y., Tsujimura N., Yumoto T. and Ushimaru A. (2010) Restoration of floating mat bog vegetation after eutrophication damages by improving water quality in a small pond. Limnology, DOI 10.1007/s10201-010-0312-6.

について、その内容をかみ砕いて説明していただきました。この論文には、主に浮島内のビュルテに繁茂するハリミズゴケについて書かれています。近年の水質改善によってミズゴケは回復しているものの、他の植物については回復が見られないとのことでした。また、アメリカセンダングサとシカの関係についても考察されています。

5.今後の予定