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2010年9月の深泥池水生生物研究会からのお知らせ

連絡係 辻本 典顯

第121回打ち合わせ会報告
開催日時:9月5日(日)14:00〜17:00

出席者:竹門康弘・田末利治・伊藤昭雄・大畑吉弘・斉藤孝・安部倉完・嶋路耕平・辻本典顯(順不同・敬称略、計8名)

○ はじめに

次回の打ち合わせ会は2010年10月10日(日)14:00から深泥池会館で行う予定です。

1.2010年 第13回夏休み底生動物調査結果報告(竹門康弘)

深泥池では1970〜80年代にオオクチバスとブルーギルが侵入した結果、在来動物の多くが絶滅や減少してしまいました。このため、京都市文化財保護課では、1998年からオオクチバスとブルーギルの駆除事業を実施しています。深泥池水生生物研究会では、その効果を知るため、毎年夏休みに底生動物調査を行っており、今年で13年目を迎えました。今年は、樹木の覆われた場所と公園前のオープンな場所の違いを知ることも目的として調査を実施しました。

調査結果の概要

2010年の調査では、昨年とほぼ同様の計56タクサ416個体が採集されました(2010年度調査結果参照)。このうち,コシアキトンボ、チョウトンボ、マルミズムシ属の一種、カワリヌマエビ属の一種、ヒラマキミズマイマイ、カダヤシ、ウシガエルのオヤマジャクシが比較的多く採集されました。夏休みのモニタリングとして今回初めて確認された種は、コマツモムシ、キベリヒラタガムシ、ハイイログンゴロウの3種でした。コマツモムシ、キベリヒラタガムシについては以前から深泥池で確認されている種で、とくにキベリヒラタガムシは、浮島にたくさん生息しています。

今年も昨年と同様に南西開水域の全域でトンボ類、エビ類、貝類などの底生動物が減少している傾向にありました。20cm程度の岸近くでも水底上に生息している動物はきわめて低密度でしたが,ジュンサイやタヌキモなどの水面に近い場所を網で掬うとフタバカゲロウ、クロイトトンボ、チョウトンボ、マルミズムシ属の一種、カフリヌマエビ属の一種、ヒラマキミズマイマイ、カダヤシが採集されました。

さらに,本来底生性のコシアキトンボ、アメリカザリガニ、 トウヨシノボリまで表層近くの水草上から採集されました。このような現象は,今回初めて見いだされたことです.逆に底を網で引掻き回しても、ほとんど底生動物が獲れなかったことは、水中の有機物量が増加し池底の溶存酸素濃度が低下しているためと考えられます。幸い今年は、タヌキモの繁茂が顕著であり、酸素濃度の高い表層に水生植物の足場ができたことによって、上記の水生動物が南西開水域でも生息できたと考えられます。これまでにも毎年提案しているように、水生植物管理や泥抜きを早急に着手することが望まれます。

いっぽう,経年変化(13年間の集計結果参照)を見ると、採集されたタクサ数、個体数ともに増加傾向が認められました.これは,外来魚の個体数減少によって水生動物が増えた可能性もありますが,参加人数が年々増加していることに起因する可能性も否定できません.ただし,採集個体が多いほど種数が多いというわけではなさそうです。外来魚対策の効果を科学的に認定するには,もう少しモニタリングを続ける必要があると思われます。

また,上述したとおり、近年トンボの幼虫であるヤゴの採集個体が減少傾向にあり、とくにイトトンボ類の減少が目立っています。また、ヤンマ類とヌマエビは年変動が大きいという結果となりました。トンボについては、これまで辻本くんが行っている陸上での成虫の調査の結果と比較して、個体数の年変動の対応関係を調べてみることになりました。

結果(エクセル)

13年間の集計結果(1998年から2010年、エクセルファイル)

2.2010年前期分 深泥池外来魚駆除成果報告(安部倉 完)

○4〜7月の外来魚駆除報告(4月25日〜7月18日)

計 ブルーギル 302尾、ブルーギル稚魚186尾、オオクチバス 14尾、オオクチバス稚魚,尾となりました。

オオクチバス

オオクチバスの1歳魚以上の捕獲量は少なく、魚影も少ないようですが、5月27日頃から密放流個体とおぼしき40cmクラス1尾と20cm代3尾ほどの目撃情報があり、いまだつかまっていません。

エリ網での稚魚の捕獲数は、昨年5,375尾から1,142尾と減少していましたが、稚魚の捕獲数と1歳魚以上の捕獲数との相関関係はあまりなく、繁殖成功個体がいる限り1歳魚以上の個体数の減少は望めないというのが現状です。ただ、定期的な密放流も個体数の減少を阻害する大きな要因となっている可能性は高いと思われますので、巡回等の密放流対策を今後も続けていくことが求められます。

ブルーギル

もんどりによる捕獲数は昨年760尾から270尾に減少していましたが、稚魚に関しては増加傾向にあるため、注意が必要です。今年は産卵床の破壊が完全ではなかった、あるいはオオクチバスの密放流と同時に、ブルーギルも密放流された可能性があり、それらが稚魚の増加につながっている可能性があります。

○8月の捕獲量(田末さんと大畑さんが個別にモンドリによる捕獲作業を行ないました)

 田末さん 8/19 13:30 学生アパート前 モンドリ1個 ブルーギル2尾
 田末さん 8/21 10:00 小屋前     モンドリ1個 ブルーギル8尾
 田末さん 8/22 8:00 小屋前      モンドリ1個 オオクチバス(10cm)3尾
 田末さん 8/22 8:00 小屋前      モンドリ1個 ブルーギル1尾
 田末さん 8/24   学生アパート前  モンドリ1個 オオクチバス(10cm)1尾           
                           ブルーギル(10cm)1尾
                           ブルーギル(5cm)2尾
 大畑さん 8/27 学生アパート前  モンドリ10個 オオクチバス(10cm)2尾
                          ブルーギル31尾
 大畑さん 8/29 学生アパート前  モンドリ10個 オオクチバス(10cm)3尾
                          ブルーギル40尾
 大畑さん 8/30 小屋前      モンドリ10個 オオクチバス2尾
                          ブルーギル27尾
                          カムルチ1尾
 大畑さん 8/31 小屋前      モンドリ10個 オオクチバス1尾
                          ブルーギル7尾
 大畑さん 9/3 小屋前      モンドリ5個  ブルーギル8尾

○その他

エリ網によるヨシノボリの捕獲は2006年に1尾が確認されただけでしたが、今年はすでに10尾捕獲されています。2008年度以降オオクチバスの捕獲数が減少傾向にあるため、ヨシノボリの個体数が回復してきているのかもしれません。今後、タモ網による捕獲など、個体数のモニタリングをする必要があると思われます。

3.近況

1) 8月の深泥池(田末利治)

田末さんから8月の深泥池の植物について伺いました。まず、ジュンサイについてです。今年はジュンサイハムシなどの甲虫に食害が少なく、この時期としてはめずらしく葉が青々としているとのことです。また、オオカナダモの勢力が衰え、ジュンサイは開水面を覆い尽くしています。ミツガシワの葉は、日射と高温のせいか、茶色く枯れているものが目立ちます。道路沿いのヨシを刈り取ったところには、イトタヌキモの花がこれまでになくたくさん咲いており,在来のものかどうか精査の必要があるとの意見が出されました。

2)ヨシ・マコモの運び出し(大畑吉弘)

 外来植物のウチワゼニクサを弱らせるために積まれていたヨシマコモを、7月24日から3回に分けて隅岡さんに運び出していただきました。

3)都市計画道路 岩倉−上賀茂線の廃止について(竹門康弘)

この度,深泥池横の岩倉−上賀茂線が都市計画道路の廃止候補路線にリストアップされました。京都市は都市計画の見直しを行うため、昨年2月20日から3月23日にパブリックコメントを募集し、見直し手法の検討についての意見を集めました。水生生物研究会でも、提出すべき意見について昨年3月の打ち合わせ会で話し合い、打ち合わせ会に参加できなかった会員の方々にもパブリックコメントの提出をお願いしました。今回京都市がパブリックコメントの結果を反映し、岩倉−上賀茂線計画が廃止候補路線に選定したことは、大変喜ばしいことです。ただし、深泥池の北側と西側の道路は,交通量や路面負荷等の点で決して良好な環境とは言えません。むしろ保全のために改善を図るべきであると京都市に意見を言えるチャンスですので,皆様のパブコメへの回答をお願いします。