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201311月の深泥池水生生物研究会からのお知らせ

153回打ち合わせ会報告

連絡係 辻本 典顯

○次回の打ち合わせ会予定
次回の打ち合わせ会を20131222日(日)1400から深泥池会館で行う予定です。当日は忘年会も兼ねますので皆様、飲み物や食べ物をお持ち寄りください。

 

 

開催日時:1117日(日)14:0017:00
出席者:竹門康弘、田末利治、小林直正、成田研一、斉藤孝、宮本水文、木村満、恵藤弘、宇都寿、
中西文恵、細越嵯千、谷田悠一、鄭呂尚、山田紗友美、北尾晃一、辻本典顯(順不同・敬称略)(16名)

 

1.2013年度水質調査結果報告(竹門)
 継続して行っている水質調査ですが、今年度も46地点で47サンプル10項目を測定しました(添付資料1:2013年深泥池水質調査結果報告)。冷たい雨が降る中、調査にご参加いただきました皆様ありがとうございました。また、雨除けテントをお貸しいただきました深泥池町内会の皆様ありがとうございました。
 今年度も例年と同様の傾向として、1)浄水谷とその周辺(サイト番号2022)での高い電気伝導度および高いpHが測定されましたが、その程度は近年で最も深刻であることがわかりました。2)病院前からバス通りにかけて(2832)の高い電気伝導度(EC)、pHおよびリン酸態リンが確認されました。それぞれ、京都市水道局配水池からの水道水の漏水、下水道からの溢水および舗装道路からの融雪剤をはじめとした路面物質の流入に起因するようです。一方開水域(111, 4546)では、電気伝導度およびpHが低い傾向にあり、深泥池本来の貧栄養の水質に近い値でした。溶存酸素濃度(DO)については池全体でバリエーションがありますが、開水域の水深50cm以下のところや、浮島では極端に低く、魚や底生動物が生育できない環境になっていることがわかりました。これらは、外来魚の捕食による掃除係(小型のコイ科魚類)の絶滅や減少、二枚貝などの濾過食者の絶滅や減少、およびそれらに伴う水生植物の過剰繁殖による有機物の堆積などに起因すると考察しました。一方、浮島での低い溶存酸素については、溶存酸素が低いことが夏の間にも植物遺体が分解せずに浮島が形成維持されてきた原因であるとの報告(加藤義和さん博士論文)もあり、必ずしも危惧すべき事項ではないかもしれません。
 以上より、水質が改善している地点もある反面、依然として池にとって望ましくない水質になっている地点もあることから、結果を市民と行政に広く周知し、実効性のある改善対策を要請していく必要があります。

 

22013年度浮島植生調査報告(鄭)
 奈良教育大学の松井淳先生と辻野亮先生、鄭呂尚さんの研究グループを中心に、実施されている深泥池浮島植生の再調査結果について鄭さんから報告がありました。この調査では、前回の調査(2006年)以後の植生の変化を把握し、集水域の人為的な影響、シカや外来種の浮島への侵入の影響等を明らかにすることを目的としています。今回の打ち合わせ会では2013年度トランセクト調査の結果を報告していただきました。2006年と同じトランセクトで出現種数、株数およびシカによる被食率を調査した結果、以下のような傾向が見られました。まず全体的な傾向として、1)木本やヨシが減少し、ハリミズゴケが出現した区画が多くなったことから、浮島本来の植生が回復しているとのことでした。一方で、2)シカによる食害が目立ち、とくにミツガシワやカキツバタでの被害が顕著とのことでした。また、3)シカが食べないカヤツリグサ科の植物が優占する区画が増え、4)同じくシカが食べないナンキンハゼの実生も見られるようになりました。ナンキンハゼは公園の植栽樹や街路樹として人気のある樹木です。陽樹でシカが食べないこともあり、ナラ枯れ後に明るくなった林内でしばしば実生を見かけます。将来、ナンキンハゼの株数が増えることも予想されるため、注意が必要との意見で一致しました。深泥池周辺ではシカの個体数が増加しており、以前に比べると浮島での被害も深刻になっているため、個体数を抑制する対策も必要との意見も出ました。

 

3.枝払い実験区域へのシカ柵設置(宮本・辻本・竹門)
 7月の植生調査の際に、枝払い区画の林床には草本、木本を含め多数の芽生えが確認され、枝を落とした木からのぼう芽も見られました。一方で、シカによる食痕とみられるダメージも確認されました。このまま食害が続くと、木が弱って地面を支えられなくなり、表土が浸食を受けることも懸念されるので、枝払いを行った区画を柵で囲って食害を防ぐことになりました。シカの食害を防ぐには西山全体を入れないように仕切る方が効果的との意見も出ましたが、区画全体を囲ってしまうと、植生の回復がシカ食害を免れたことによるものなのか、枝払いによって被陰から解放されたことによるものなのかの評価が難しくなることも予想されます。このため、枝払い区画の半分を柵で囲い、@枝払い・シカ排除区、残りの半分をA枝払い・シカ非排除区とし、さらにB枝払い未実施・シカ排除区およびC枝払い未実施・シカ非排除区を新たに設置することになりました。
 竹門先生と京都市との話し合いの結果、シカ柵設置の許可申請が可能と判断されましたので、今年度中の設置に向けて具体的な作業計画を練り京都市文化財保護課に具体案を申請することにしました。また、獣害対策にも尽力しておられる滋賀県立大学の野間直彦先生に共同研究者として事業に加わっていただき、効果的な柵の設置についてレクチャーしていただけることになりました。山林や林縁と違い、深泥池では池側の斜面から沖に向かって柵を設置することになるので、通常とは異なる方法を考える必要があります。そこで今回の打ち合わせ会では、方策を考えてもらいました。まず、1)網を張るためのポールを深く打ち込めないので、斜面に対して直角に打ち込んではどうかという案が出ました。また、2)区域の両端では網をポールではなく、太い木に巻きつける案も出ました。さらに、3)水中に打ち込むポールについては、外来魚駆除のときに使用しているようなしっかりしたものにしたほうがよいとのことでした。このような方策を紙面に描き許可申請を出す予定です。
 なお、1119日(火)には法然院の森でシカ柵設置講習会があるそうで、水生生物研究会からは小林直正先生に参加いただけることになりました。

 

4.外来種オオバナノイトタヌキモの除去
 11月末に自然誌研究所の堀和子さんにパッカー車で回収する手配をしていただくことになりました.現状のオオバナノイトタヌキモの除去量はまだ、パッカー車半分に満たないことから、1121日と24日(日)にオオバナノイトタヌキモの除去作業を行うことになりました。引き上げた植物体は公園前に拡げて乾燥させますので、みなさまお手伝いいただければ幸いです。なお、今年度の除去作業はこれで終わりです。今年度の結果から、どの時期にどの程度の努力量を投入すれば除去効率がよいかについて考え、来年度以降の活動の参考にする予定です。

 

5.斉藤式ミジンコ計数板(斉藤)
 深泥池では底生動物の調査については継続して行っていますが、プランクトンの調査については不定期にしか行われておらず、現在どれくらいの種がいつ、どのくらいの個体数いるのかといった情報がありません。プランクトンの個体数を推定することは難しいですが、水生生物研究会の斉藤孝さんは、手製のプランクトン採取ネットと計数板を用いて個体数推定に挑戦し、南岸のミジンコの個体数を数千匹 / m3と推定されました。プランクトン採取ネットについては、インターネットでも紹介されている方法で作製されましたが、計数板については、10cm四方、幅3oにすることで表面張力によって顕微鏡下でも水がこぼれないように工夫し、さらにコースロープに見立てた仕切り版を入れることで、ミジンコの動きを制約することに成功しました。打ち合わせ会では実際に計数板を使ってミジンコを数えましたが、とても使いやすく、画期的な発明との評価が得られました。ただし、サンプリング方法については改善が余地ありとの意見が出ました。深泥池では水中に浮遊物が多いため、ネットを一定距離曳く方法ではネットが目詰まりしてしまい、定量的なサンプリングができない可能性が指摘されました。このため、バケツで水を汲んで一定容積の水をネットで濾す方法がよいだろうという結論になりました。

 

6.今後の予定
11
21日(木)、24日(日) オオバナノイトタヌキモ引き上げ作業
12
22日(日) 忘年会 14時〜19時 深泥池会館(食べ物を持ち寄りください)

 

 

 

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