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20162月の深泥池水生生物研究会からのお知らせ

178回打ち合わせ会報告

連絡係 辻本 典顯

 

開催日時:214日(日)14:0017:00

出席者:竹門康弘、田末利治、小林直正、成田研一、宮本水文、宮本秋津、木村満、加藤義和、北尾晃一、辻本典顯(順不同・敬称略)(10名)

 

 

1.水質調査結果(竹門)

 昨年11月に行われた水質調査の結果について報告がありました。2015年は、南東水路から浄水谷、病院前および西岸車道沿い(46地点中の17地点)の水質が例年に比べて電気伝導度ならびにpHの値が高いことがわかりました。とくに、電気伝導度の値が高いところは100 μsec / cm以上、pHが高いところは67を記録しました。また、溶存酸素濃度が0 %に近いところもありました。これらの原因として、以前から指摘されている水道水、病院内からの汚水および車道からの水に加えて、シカが汀を踏み荒らすことにより泥が巻き上げられる影響の可能性について指摘されました。また、堆積している泥の質によっても水質は異なると考えられます。これらの原因による水質の違いを評価するためには、過去に高村典子さんや嶋村鉄也さんの協力に寄って各種イオン濃度を測定した研究事例と同様の水質調査を行い比較する必要があるとの意見が出ました。また、424日(日)に行われる 宝が池シンポジウムでは、近年の深泥池における水質の状況を加藤さんに発表していただく予定としました。

 

2.外来魚捕獲の成果と今後の個体群予測(安部倉・竹門)

 今回の打ち合わせ会では、安部倉さんにご報告いただく予定でしたが、急遽東京出張となったため安部倉さんの作成された報告書を竹門さんが解説しました。昨年12月の報告にも記載したとおり、オオクチバスの個体数は依然減少傾向にあるものの、ブルーギルの個体数は2014年度に比べて大きく増加していると推定されました。これには、オオクチバスの繁殖が盛んではなかったのに比べ、ブルーギルは繁殖場所の中心がかつての南西開水域の南岸沿いから南水路〜東開水域へ変化したため、産卵床の見落とし多くなり、繁殖に成功する個体が多くなったためと考えられます。

 ブルーギルは本来、砂礫の多い場所に集まって繁殖しますが、近年こうした場所に浮泥がたまるようになったため、かわって水中の落ち葉の表面に産卵するようになったようです。この変化の理由の一つとして、溶存酸素濃度が比較的高い東開水域へ移動した結果、岸沿いに樹木が多く水中に落ち葉が積もった場所が多いことが考えられます。実際、沖もんどりやエリ網では魚はほとんど捕獲されず、南堤防から浄水谷にかけての岸沿いで集中的に捕獲されました。一方、オオクチバスについては産卵場所が移動しているとの報告は今のところありませんが、同様の条件の底質に産卵床を造る可能性もあり今後注意が必要です。溶存酸素濃度などの水質の変化と、魚の行動場所の変化については因果関係についてはまだ分析できていませんが、今後精査して論文として報告する必要があると考えられます。また、こうした変化を考慮して個体群の変化を予測し、効果的な対策を講じなければならないという考えで一致しました。

 

3.ジュンサイの間引き実験(加藤・北尾・竹門)

 前回の議題にもありましたが、ジュンサイの間引き実験の計画書を加藤さんと北尾さんを中心にまとめていただくことになりました。打ち合わせ会では計画書案の内容を相談しました。その結果、計画書には「ジュンサイの生育密度が池底および植物体上の動物相に及ぼす影響を明らかにすること」を目的として、実験的に間引きの程度の異なる区画を設置し、間引き後のジュンサイの占有率、競合する浮葉・沈水植物の占有率および底生動物相(池底・ジュンサイ水中・ジュンサイ水面葉上)などを比較調査することになりました。同時に環境要因として、光量および水質(水温・pH・電気伝導度・溶存酸素濃度など)などを測定する予定です。実験デザインについてはもう少し検討が必要なので、次回の打ち合わせ会で計画書の最終調整をすることになりました。新しい事業であることから、文化財保護課の許可が下りるのに時間がかかることが予想されるため、6月には事前調査や間引きを開始できるよう、今年は3月の早い時期に現状変更申請書を提出することになりました。

 

4.池畔林伐採その後遮光とシカの影響(加藤)

 深泥池では2013年から「池畔林を伐採して光を入れる実験」、ならびに「防鹿柵を設置してシカからの食害を防ぐ実験」を行い、岸際植生が変化(回復)する過程についてモニタリング調査をしています。その成果についてまとめたポスターを、36日(日)に大阪市立自然史博物館で行われる地域自然史と保全研究発表会で発表することになりました。なお、当日の発表者は北尾さんにお願いすることになりました。内容については以下の通りです。打ち合わせ会と日程が重なってしまいましたが、ぜひ発表会にも足をお運びください。

 

--------------------------------------------------------------------------------------------------------------「深泥池の岸辺の環境は取り戻せるか?樹木による被陰とシカ食害の影響

 

*北尾晃一・加藤義和・辻本典顯・宮本水文・竹門康弘(深泥池水生生物研究会)

 

<発表要旨>

 深泥池(京都市北区)では、1960年代以降に南岸沿いの池畔林が茂った結果、樹冠が岸辺をおおい、水陸移行帯の生物群集が衰退した。また近年では、シカの食害により、岸辺の植生の更新が大きく妨げられている。本研究では深泥池で実施した「池畔林の部分的な伐採実験」ならびに「防鹿柵による植生の囲い込み実験」によって生じた植生の変化をモニタリング調査した。その結果、池畔林を伐採してシカの侵入を防いだ区域では、植生の顕著な回復が見られた。

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5.「宝が池の森」保全再生協議会との連携(北尾・辻本)

 28日(月)に行われた「宝が池の森」保全再生協議会の第2回会議での審議事項や報告事項について、出席された北尾さんと辻本から報告があり、水生生物研究会のメンバーと情報の共有をしました。会議ではまず、協議会の構成メンバーや事務局の体制について再確認し、その後、協議会の広報(パンフレットやホームページ)や事業資金獲得の方法について話し合いました。続いて、すでに始まっている事業については結果報告があり、年度内にスタートする事業については計画内容の説明がありました。また、水生生物研究会から、シカの食害が深刻な状況であることを報告したところ、京都大学の高柳敦先生にシカ対策にご協力いただけることになりました。その内容については次の6で報告します。

 

6.南西堤防および西岸にかけてのシカの被害(辻本)

 前回の報告にも記載しましたが、昨年12月中旬ごろから、池の南西堤防(公園前)および西岸(車道)の汀に沿ってシカの踏みつけ、食害による植生への被害が深刻になっています。1月中旬に竹門さんが京都市へ被害の状況を報告したところ、既に文化財保護課の監視で被害の存在が認識されており、何らかの対策を講じると方針とのことでした。また、「宝が池の森」保全再生協議会の会議でも被害状況を報告し、協議会メンバーに地域全体の問題として位置づけをお願いしました。その結果、同協議会メンバーの高柳敦先生に、深泥池のシカ対策にもご協力いただけることになりました。高柳先生はこれまで、芦生、伊吹山や大台ケ原など、多くの地域でシカ対策に取り組んでおられます。まずは36日(日)の打ち合わせ会で、シカ対策の重要性や対策方法をレクチャーしていただくことになりました。そのうえで、水生生物研究会としての方針似ついても協議のうえで、改めて京都市や文化庁に対策の実現を要請していく予定です。36日(日)の打ち合わせ会には多くの皆様がふるってご参加いただくようお願いいたします。

 

 

. 今後の予定

228日(日) 京都宝の森をつくる会 2月定例会(13:0015:30 宝が池子どもの楽園 

                     プレイパークの小屋

 

36日(日)   179回打ち合わせ会(14:0016:30) 深泥池会館

           京都大学の高柳敦先生に、シカ対策のレクチャーをしていただきます。

           また、ジュンサイの間引き実験の内容を最終調整します。

 

36日(日)  地域自然史と保全研究発表会(10:0017:00

大阪市立自然史博物館 本館

                     「深泥池の岸辺の環境は取り戻せるか?樹木による被陰とシカ食害の影響」というタイトルで北尾さんにポスター発表していただきます。

 

312日(土) 宝が池連続学習会(10:0015:30

           『宝が池界隈の歴史からみる森の利用とくらし3

                    講師は埋蔵文化財研究所・吉崎伸氏です。

                    集合:上高野防災会館 (子どもの楽園北門から川をはさんではす向かい)

                    参加費:今回ご参加の方・おとな200円、学生100

                    持ち物:昼食・飲み物、筆記用具など適宜。

                    脱ぎ着のできる服装、山道を歩ける靴で。

                     はじめに室内で2030分程度のレクチャー後、出発します。

 

313日(日) 宝が池第2回ナンキンハゼ駆除(9301530) 

                    宝が池公園こどもの楽園 管理棟

                    *事前申し込みが必要です。36日(日)までに辻本までお返事ください。

           *詳細については下記をご参照ください。

 

424日(日) 宝が池シンポジウム

           詳細未定

                    水生生物研究会からは加藤さんが話題提供者として口頭発表予定

 

 

 

 

 

 

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