雑感〜捕獲調査事業に参加して〜

高橋智太郎


<出会いと参加>

あれは春のうららかな日差しに恵まれた日でした。私が妻子と深泥池を通りかかる と何かうずくまって池の生物を調査する人々を見かけました。それが水生動物研究会 との出会いでした。その場に居合わせた田末さんや西村さんから事業の話をうかがい、 翌月の4月から捕獲作業に加わるようになりました。週に一二度ほどでしたが、貴重 な経験をさせて頂いたと思います。特に、井上さん、田末さん、伊藤さんの三人がえ り揚げ作業にほぼ毎回協力される姿は、多くの会員が頭の下がる思いを持ったことで しょう。

初めてのえり揚げ作業では長くて胴太の雷魚と70cmを超える真鯉の網揚げに難儀 し、また網の目を喰いやぶらんとするスッポンの牙の鋭さに驚きを覚えました。これ から、池では何が待っているのか。驚きと不安、そして期待が入り交じったスタート でした。今も様々な思い出が蘇ります。

<グローバリゼーション>

目下、日本の政治・経済・社会構造が国際化の波に洗われているためでしょうか。 ここ数年来、「グローバリゼーション」という言葉が新聞紙上にたびたび登場します。 捕獲調査の作業中この言葉が頭をかすめることがありました。ブルーギルやブラック バスやアカミミガメのように、環境適応能力が高い外来種が繁殖地をどんどん増やし ていく現状を実感するにつけ、深泥池ばかりではなく諸所で生物相の画一化が進んで いるのではと危惧されました。従来の固有種が追いやられ、生存競争力のある一握り の外来移入種が主役の座を占めていく。もしもこれがグローバリゼーションの一つの 帰結なのでしたら、それは悪しき「標準化」に他なりません。

と言って、古来の生物相の復元は事実上困難でありますし、多くの問題を孕んでお ります。どこまでを移入種とみなすのか。或いは近来の移入種という理由で駆除する ことがどの程度まで許されるのか。駆除には直接作業する者の胸の痛みも覚悟しなけ ればなりません。今、私が深泥池に関して述べうるのは、生き物同士の共生を念頭に 置きつつ、ヨシノボリ、ドブガイ、ジュンサイといった従来の動植物の絶滅を何とか 防がなければならないということです。これには水質をはじめとする生息環境の改善 がすこぶる重要に違いありません。また、実際の作業に参加した印象では、ブルーギ ルなどの移入種が在来種に対して大きな影響を与えたように推察されますが、引き続 き捕獲調査を行い、実証的なデータを積み重ねた上で、様々な対策を検討・実践する ことが必要だと思いました。


ホームページに戻る。